美少女ゲームの臨界点とは


装画:新海誠

『美少女ゲームの臨界点』は、2004年8月に、メールマガジン『波状言論』の臨時増刊号として発行された評論集です。

『美少女ゲームの臨界点』は、現在第一線で活躍されているクリエイターと評論家の方々を招き、『雫』から『Fate/stay night』『CLANNAD』まで、ノベル系美少女ゲームの8年間を総括し、その想像力の可能性と限界、そして『ファウスト』や『新現実』、にわかに盛り上がっているライトノベル・ブームとの関係を徹底的に議論しています。

既存の言説に不満を感じていた美少女ゲームのヘビーユーザーから、萌えや秋葉原に関心はあるものの、エロゲーのプレイは躊躇している一般の方まで、幅広い読者層を想定しています。自主制作本で、メルマガ増刊号という形式をとっていますが、質量ともに『動物化するポストモダン』『網状言論F改』に匹敵します。商業誌では決して実現しなかった、ガチでハイエンドな美少女ゲームトークを、ぜひご覧ください!

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『美少女ゲームの臨界点』は、このサイトでの通信販売のほか、一部書店での委託販売を行っています。詳しくは以下のページをご覧ください。

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目次

インタビュー

原田宇陀児
「『雫』の時代の終わりから」

東京BBS、リーフファン1/2、『WHITE ALBUM』……。ファンダムからLeaf入社、そして退社まで、当時の熱気を人気シナリオライターが赤裸々に語る! Leafファン必見の20000字インタビュー。聞き手:佐藤心+波状言論編集部

ササキバラ・ゴウ
「美少女ゲームの起源」

SF、ロリコン、『WHITE ALBUM』、『ほしのこえ』、そして戦後民主主義。大塚英志の盟友が、美少女ゲームに託し、大塚への距離感を告白しつつ語るオタク第1世代の歴史とアイデンティティ。『新現実』読者必読の30000字インタビュー。聞き手:佐藤心+東浩紀

共同討議

佐藤心+更科修一郎+元長柾木+東浩紀
「どうか、幸せな記憶を。」

「Natural Color Phantasm」の更科修一郎、「インディヴィジュアル・チェキシステム」の佐藤心、「辺縁系逍遥」の元長柾木。専門誌『カラフルピュアガール』で異色コラムを展開した評論家・クリエイターの3人を招いて議論する美少女ゲームの可能性と未来。『To Heart』の功績は? 『未来にキスを』の制作意図は? 新伝綺ブームの落とし穴とは? 異様に高いテンションで続く50000字の徹底討論!

論考

更科修一郎「『雫』の時代、青の時代。」
元長柾木「回想――祭りが始まり、時代が終わった」
東浩紀「萌えの手前、不能性にとどまること ――『AIR』について」

共同討議の参加者の書き下ろし論考3本。運動論からオタクマッチョイズムの批判へと駒を進める更科修一郎、美少女ゲーム運動をサイバーパンクに比し、ジャンル的可能性を抉り出す元長柾木、『ファウスト』連載の「メタリアル・フィクションの誕生」と連動し『AIR』の批評的可能性を追求する東浩紀。論考はすべて10000字超、相互批判も出現する力作揃い。

理論

佐藤心「あらゆる生を祝福する『AIR』」
佐藤心「無限の終わり方をさがして」

「現代ファンタジー」、「コミュニケーションの層」、「恋する探偵」など、美少女ゲーム批評の理論化を試みながらも、編集方針の変更のため打ちきられた不遇の連載「オートマティズムが機能する」(『新現実』)。『MOON.』から『AIR』まで、麻枝准作品を徹底分析したその第2回を全文再録。同時にその内容を踏まえた書き下ろしエッセイも掲載。

小説

夜ノ杜零司「えいえんはないよ。いや嘘たぶんあると思うよ。」

活躍中の某小説家が、本誌編集方針に賛同し変名での特別寄稿。内容は『Kanon』の二次創作……というより、Keyのシェアードワールド作品? 商業誌では決して見せない葉鍵魂がここに!

資料

マップ:文学的想像力と物語消費の交差点
年表:美少女ゲーム言説史

ただのマップと年表じゃない。「プレ-ファウスト系」「メタギャルゲー」など新カテゴリー満載の、「葉鍵ックス」の名に相応しい歴史観に支えられた魂の美少女ゲーム見取図。業界の見方がこれで変わる?!

参加者

原田宇陀児
はらだ・うだる

1973年生。小説家、シナリオライター。繊細な感情描写に定評があり、ミステリマニアとしても知られる。ゲームに『WHITE ALBUM』など。『ファウスト』第3号に新作寄稿。→ウェブサイト

元長柾木
もとなが・まさき

1975年生。小説家、シナリオライター。メタ志向が強い理論的な作品で知られ、SF界でも活躍中。ゲームに『Sense Off』、『未来にキスを』(ともにotherwise)、小説に「飛鳥井全死は間違えない」(『新現実』)など。『ファウスト』第3号に新作寄稿。→ブログ

ササキバラ・ゴウ

1961年生。編集者、評論家。1980年代からマンガ編集者として活躍。美少女ゲームを愛する貴重な第1世代として特別参加。著書に『〈美少女〉の現代史』(講談社現代新書)など。→ウェブサイト

佐藤心
さとう・しん

1979年生。編集者、ライター。第3世代オタクの萌えエバンジェリスト。おもな評論に「オートマティズムが機能する」(『新現実』)など。

更科修一郎
さらしな・しゅういちろう

1975年生。編集者、ライター。美少女ゲーム批評の第一人者で、辛口の業界批評で知られる。おもな評論に「Natural Color Phantasm」(『カラフルピュアガール』)など。→ブログ

夜ノ杜零司
よのもり・れいじ

別名で作品多数?

東浩紀
あずま・ひろき

1971年生。批評家、哲学者。著書に『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)など。『波状言論』責任編集&発行人。

サンプル

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サンプルページ

正誤表

第1版第1刷の正誤表は以下からダウンロードできます(PDF)。第2刷以降は修正が行われています。

『美少女ゲームの臨界点』第1版第1刷正誤表 ver3

商品情報

書籍
書名:美少女ゲームの臨界点(ビショウジョ ゲーム ノ リンカイテン)
副題:HajouHakagix(ハジョウハカギックス)
出版者:波状言論
hajou books 1

変形B5版(164mm*240mm)
218p(本文214p+表紙4p)
仮フランス表紙(フルカラー)

2004年8月15日 第1版第1刷発行
2004年9月30日 第1版第2刷発行
2004年11月14日 第1版第3刷発行
2005年2月1日 第1版第4刷発行
編集人:東浩紀
発行人:東浩紀
発行所:波状言論(東浩紀個人事務所)
印刷所:株式会社ポプルス
(C) hirokiazuma.com 2004
ISBN:4-9902177-0-5

責任編集:東浩紀
執筆者(50音順):東浩紀、ササキバラ・ゴウ、佐藤心、更科修一郎、原田宇陀児、元長柾木、夜ノ杜零司
編集:佐藤心、丹羽洋介(波状言論編集部)、前島賢(波状言論編集部)
装画:新海誠
「hajou books」ロゴデザイン:西島大介

定価:2700円(税込2835円)